今年の4月にある取り決めが廃止されました。
それは今後日本のお米のみらいを大きく変える可能性があるものなのです。
うまく行けば、もっと自由な農業へ、
うまく行かなければ、最悪のシナリオになります。
日本のお米がF1種、無精子米に変わる可能性があります。
種子法とは
種子法とは簡単にいえば、都道府県に米の種子生産を義務付けた取り決めの事です。
戦後の貧しい時代に安定して、良質なお米や、麦や、大豆の生産をしてもらうために、国が補助金も出しながら、県や府に対して、コメなどの種の生産や優良品種の開発、選定までをさせていた取り決めです。
何故この米、麦、大豆の3種だったかというと、それが国民の主食だったからです。
主食だからこそ良質な種が必要だったわけです。
この法案のせいで、JAが種籾(たねもみ=稲の種の事)を販売、管理して、その種を使った米しかJAは買い取らないというスタイルで、もちろん栽培方法もJAが指導し、農薬を使った慣行農法でした。
奨励品種(優秀品種)指定試験を国が都道府県に課していることがこの取り決めの一番のポイントです。
種子法が廃止になった経緯とは?
種子法廃止の話が初めて出たのは、2010年の6月でした。
それから実際に種子法が廃止になったのは2018年4月。
廃止となった理由は
・種子生産者の技術水準の向上等により、種子の品質は安定
・農業の戦略物資である種子については、多様なニーズに対応するため、民間ノウハウも活用して、品種開発を強力に進める必要。しかしながら、都道府県と民間企業の競争条件は対等になっておらず、公的機関の開発品種が大宗を占めている
・都道府県による種子開発・供給体制を生かしつつ、民間企業との連携により種子を開発・供給することが必要
つまり民間企業が種を作る米や、麦、大豆の種の改良のビジネスに参入できていないという亊
それが平等性にかけるということが廃止の原因です。
でなぜこのタイミングなのかというと、今ではお米など3品種の種の品質は安定しているためです。
これが種子法廃止の理由です。
民間の参入は認められてはいます。しかし、奨励品種に民間の品種が選ばれた例は非常に少ないことも事実です。
1986年の種子法改正により、すでに民間企業はお米などの種を作って栽培して、販売しています。
たとえば
三井化学の人工的な米「みつひかり」は吉野家の牛丼に採用
住友化学「つくばSD1」はセブンイレブンおにぎりに採用
これらはF1種と言われています。
農作物では遺伝子組み換えが最も多くの人から嫌味嫌われていますが、このF1種は当たり前すぎるだけで実はかなりグレーゾーンな存在でもあります。
F1種とは
F1種は、(FILIAL 1 HYBRID)の略称で
人為的につくられた一代限りの雑種です。
簡単に説明すると、植物は雌しべと雄しべがあり、受粉することで、実がなり、種が取れつぎの世代に引き継がれます。
しかし意図的に雄しべが存在しない植物を作り、他の全く違う植物の雄しべで受粉させると一代のみ異なる親の強い遺伝子を併せ持った品種ができます。
しかし問題もいくつかあります。
F1種は雄しべがない、つまり雄性不稔なので次が作れない
毎年種を種子メーカーから買わないといけない。
人間の精子の減少に関係していると言われている。
味が薄まっていて、野菜もどきと言われている。
一つひとつ見ていきましょう。
F1種は雄しべがない、つまり雄性不稔なので次が作れない
植物は自家受粉なのですが、雄しべがないか花粉がないために受粉しないのです。
そして仮に何らかの影響で他の植物の花粉がついたとしても二代目の出来上がった作物は一代目とは到底及ばない、ちぐはぐな作物ができる可能性が高い。
毎年種を種子メーカーから買わないといけない。
一世代しかまともなも作物が作れないので、毎年JAから種子を購入する亊になる
人間の精子の減少に関係していると言われている。
1940年代には男性の精液1mlのなかに精子が1億5千万いました。それが平均値です
でも、現代人の平均値は4000万以下。40%以下になっています。
味が薄まっていて、野菜もどきと言われている。
これは両方育てた経験がある方からの意見ですが、やはり大きいだけになってしまう傾向になるとのことです。
F1種は時代が求めている
このままいけば2050年には人口は100億人まで登ると言われていています。
つまりあと30年で30億人の人間が増える予想です。
そういった経緯から国際機構のFAOは人間の新たな食べ物としてなんと昆虫を進める報告書を2013年に発表しました。
くわしくはこちら
【衝撃】国連が昆虫食を提案した!?スタートアップも出てきていた!?新しい食とは?
【画像あり】あのハリウッド女優も食べている昆虫食登場!クリケットパスタとは?
をご覧ください。
F1種は昔ながらの種に比べて生産量が高いので、時代に必要とされているという面もあります。
種子法廃止でお米はどうなる?
種子法が廃止されると色々な可能性が広がってきます。
いつくかピックアップしました。
お米の値段が上がる可能性
海外の種子メーカーの参入(当然F1種)
ブランドの種子が海外に流出
お米の値段が上がる可能性
種子法が廃止になると財政的に厳しいところなどは種子の生産にあまり力を入れられなくなる。
するとメーカーの寡占になってしまう可能性も生まれてきます。
海外の種子メーカーの参入(当然F1種)
日本では食品衛生法の安全性審査で規制があるので遺伝子組み換えのお米などは栽培できないが、F1種ならかまわないので多国籍企業の種子メーカーなどが入ってくる可能性が高い
ブランドの種子が海外に流出
メーカーが種子を作ったなら、メーカーはそれを日本だけにとどめておく必要はないので当然海外へと種子は流出することになる。
F1種は浸透しない?
種子法廃止になったと同時に地方自治体が同じような制度を設けた自治体も多いです。
また日本ではお米は都道府県のどこでも作っていますが、土地や条件、その地独特の環境などを考えると国が一括して管理すのは無駄が出やすいという考えもあります。
お米の銘柄はその土地の町おこしみたいな役割も担っていて、農家主導ではなく、自治体主導でないと名ブランドは保てません。
なので地方自治体のかじ取りが肝心になります。
そしてF1種であればなんでもいいとは限りません。
日本人は野菜に関して味はなにも言わないですが、お米に関しては違いが分かります。
その違いを多国籍企業がクリアできるかという問題もあります。
味覚の好みは人種も育ちも関係しています。
まとめ
世の中大きな流れとしては、今地方はどこもほとんど財政難なので、野菜同様に収獲量を上げるために市場でシェアを伸ばそうとすることは避けられません。
またF1種を使えば安価なお米が作れるとなれば、コンビニ、ファーストチェーンでは一気に広まることになります。
その先駆けとして、牛丼の吉野家やコンビニのセブンなどのおにぎりがF1種にとってかわったわけです。
しかしすべてがF1種になることはないと考えます。
野菜と違いお米に関しては日本人はまだ特別扱いしていますので、心理的にブロックがかかるためです。
安かろう悪かろうは消費者が求めているかぎり無くならないのでしょう。
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