歴代の日本映画の興行収入で堂々と一位を取ったのが「千と千尋の神隠し」です。
この作品はあらゆる賞を取ったことでも有名で、いまだに人気がある作品です。
この映画で登場人物のハクが千のおにぎりをあげるシーンがあります。その時千はなぜか涙を流してしまします。
その理由について考察してみました。
ストーリーのあらすじ
千尋という名の10歳の少女が、引っ越し先へ向かう途中に立ち入ったトンネルから、神々の世界へ迷い込んでしまう物語。
千尋の両親は掟を破ったことで魔女の湯婆婆によって豚に変えられてしまう。
千尋は、湯婆婆の経営する銭湯で働きながら、両親とともに人間の世界へ帰るために奮闘する。
Wikipediaより引用
そして千はハクが盗んだハンコを返すために銭婆のところへ行くことになります。
そして帰り道、千はハクの事と出会った時の事を思い出しハクは自分の名前や、記憶を思い出すという話です。
この映画は当時千尋(荻野 千尋)が迷い込んだ神様の国という設定が外国では理解されませんでした。
日本では神様は八百万の神というほどたくさんして万物に宿るといわれていますが、
外国では一神教がメインですので、この設定に戸惑っている人も多かったと聞きます。
おにぎりで涙した理由とは?
一般的には千はハクのやさしさに触れて涙が出たというのがその理由と言われていますが、
実際にそれだけならばここまで多くの人々の記憶には残らないでしょう。
実際にはもっと深い意味があったのではないかと言われています。
そのためにはハクという人物を知ることが必要です。
ハクとは
油屋で働いている謎の少年。
魔法使いの見習いで、湯婆婆の弟子であり、また番頭として湯屋の帳場を預かってもいる。作中で初めて千尋と会ったときから彼女の力になる。
釜爺によれば、千尋同様忽然と湯屋に現れ、湯婆婆の弟子になることを懇願したという。
Wikipediaより引用
ハクは千が住んでいた家の近くにあった琥珀川(コハクカワ)の神様であり、
本名は「ニギハヤミコハクヌシ」です。
ここまででわかることは、ハクは川の神様だったということです。
川の神様という考え方は八百万の神、神道の考え方です。
この作品は神道の影響ををかなり受けています。
おにぎりと神道の関係は?
お父さんとお母さんが豚になったのを見て落ち込んでいる千にハクはおにぎりを渡すとき、あるセリフを言いました。
そのセリフが
「千尋の元気がでるようにまじないをかけて作ったんた。」
このセルフのまじないって何なのでしょうか?
神道の世界で神様のまじないと言えば、
これはおそらく神気のことです。
神気とは、万物のもとになる気だったり、気力、霊力、神々しさといった意味があります。
ハクは落ち込んで元気のない千に元気になってもらいたいという気持ちからおにぎりに神気をこめたのでしょう。
それがまじないをかけたといっていることの意味です。
そしてその神気を受けた千の心は温かさや愛に包まれて堪えていた感情があふれだし、涙が止まらなかったのです。
ハクはとてもやさしい神様だったのです。
因みにハクの本名のニギハヤミコハクヌシは古事記や日本書紀の中に出てくる饒速日命/ニギハヤヒノミコトがもとになっていると考えられます。
このニギという言葉には「柔和、穏和」という意味があるようです。
それはまるでハクの思いやりの深さやさしさ、徳の高さを意味しているようにも感じます。
なぜおにぎりだったのか?
なぜおにぎりだったのでしょうか?
神道ではお米はとても重要視されていて神社には米、塩、水をお供えしますし、古事記の神話にも「ゆにわの稲穂の神勅(しんちょく)」という神話があるくらい有名です。
詳しくはこちらを神話にも書かれていたお米と日本人の付き合い方ご覧ください。
そしておにぎりとはべつの言い方で「ムスビ」と言います。
ムスビはムスヒから来ていて、その語源は神皇産霊尊(かんみむすひのみこと)と高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)といわれていて、
ムスビは神様のことと言われています。
だからこそ神気をいれるにはおむすびはもっともふさわしかったのです。
最後に
実際にこれが宮崎駿監督が言ったことではないので確証はありませんが、あのおにぎりのシーンは沢山の人の心を打ちました。
そういったシーンというのは実はとても深い意味があって私たちの意識に上がってきづらいだけで、
実は無意識の領域では違うように見ていたり、腑に落ちていたりする可能性は多々あります。
実際にご飯茶碗なら一善なのに、おにぎりなら2個食べれたりするのは、そこに何かあるからです。
それは愛情かもしれませんし、気という概念の物かもしれません。
いずれにせよ素晴らしい映画です。

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